COLUMN

amachi. Collection 000「Meeting Jacket」の魅力とは? – 機能的なワークウェアと純天然染の面白さ

みなさんこんにちは。kune店主の照井です。
ようやく暖かくなり春の気配を感じるようになってきましたね。今回はそんな季節に活躍する amachi. の純天然染「Meeting Jacket」について、デザイン、生地、そして純天然染から紐解いてみたいと思います。

このジャケットは、自然環境や日々の着用の癖がそのまま衣服に刻まれていく設計です。着用による変化も、今後こちらで少しずつ共有していけたらと思います。

Collection 000 という基盤

Collection 018 Medium of flow LOOLBOOKより引用

amachi. の Collection 000 は、ブランドの中でも普遍的な位置にあるシリーズです。

一般的なファッションのようにシーズンごとのテーマで更新されるものではなく、継続的に制作され続ける基盤的なコレクションとして位置づけられています。

流行や季節の変化に左右されるのではなく、長い時間の中で着続けられる衣服。Collection 000 は、そうした時間軸を前提に設計されています。Meeting Jacket もまた、この思想の中から生まれた衣服です。

「自然と人間の関係」から生まれる衣服

2025AW Collection 017 “Space for Bodies” LOOK PHOTOより引用

amachi. の服づくりには、「自然と人間の関係」という一貫したテーマがあります。

衣服は単なる人工物ではなく、環境の中で時間とともに変化していく存在でもあります。光、空気、摩擦、湿度、そして人の生活。そうした環境や自然との関係の中で、素材や色は少しずつ変化していきます。純天然染のMeeting Jacket は、そのような変化を前提に設計された衣服です。

ワークウェアを基盤とした構造

このジャケットのベースになっているのは、カバーオール型のワークジャケットです。身幅と袖にはゆとりがあり、動きやすく、重ね着もしやすい構造になっています。
衣服としての実用性。ワークウェアの思想が、このジャケットの設計の基盤になっています。

それを踏まえて着用のサイズ感を考えると、レディースや小柄なメンズはサイズ3、170cm〜175cmのメンズはサイズ4,それ以上の方はサイズ5だと程よいゆとりで着用できるかと思います。ちなみに、私は170cmでサイズ4を選びました。

身体と道具の関係を再設計する

Meeting Jacket は、単なるワークジャケットではありません。
人が道具を持って移動するという日常の行為を、衣服の設計から見直して生まれました。打ち合わせや移動の際、バッグを持たずに必要なものを持ち運ぶ。その発想から、このジャケットは設計されています。

日常的に持ち歩く道具を衣服の中に収め、身体と一体化させる。衣服そのものが、身体の周囲に広がる小さな環境や空間のように機能する設計です。


ブランドのデザイナー自身も打ち合わせの際にはこのジャケットを着用し、タブレットを後ろ身頃まで続くポケットに入れて手ぶらで移動することが多いそうです。その使い方が Meeting Jacket という名前の由来にもなっています。

実用的とデザインが調和したポケット

Meeting Jacket のポケットは、先ほど述べたようにとても実用的。

右身頃ポケット内側にはスマートフォンがちょうど収まるサイズのポケットが縫い込まれています。さらに後ろ見頃まで広がる大容量ポケットには、「タブレット」「500mlボトル」「財布」など、日常の道具を収納することが可能です。

手をポケットに入れたときにスマートフォン用のポケットがあることで、スマートフォンが布一枚でセパレートされます。個人的にはポケットに手を入れたときにスマートフォンに直接触れる感覚が苦手なので、快適だと思いました。

さらにこのポケットは、パターン構造によって立体を形成する設計にもなっています。

例えば先ほども登場した右見頃のポケットは前裾から脇まで連続する構造布として設計されており、
裾から脇にかけて 表地/ポケット袋布/裏側の布 の三層構造をつくります。

この部分的な生地の重なりと硬さが面の強度と重さを生み、前身頃のシルエットを安定させます。
荷重も面で分散されるため、タブレットなどの重い物を入れても形が崩れにくい設計です。

部分的に生地を重ねて立体と重量をコントロールするという表現はamachi.のデザインの特徴でもあります。

大きなものを入れてもシルエットが崩れない

倉敷のワーク生地

使用されている生地は、岡山県倉敷の機屋で織られた高密度コットンです。倉敷は、「岡山デニム」で有名な程、日本随一のワークウェア用の生地産地として知られています。

コットンは暖かい気候で育つ背景もあり、コットン織物が盛んになった地域です。海の貿易の要ということもあり帆布からはじまり、学生服や作業服、そしてデニムなど、耐久性の高い布づくりが長く続いてきました。


太番手の糸をシャトル織機で高密度に織り込み、独自の仕上げ工程を経ることで、モールスキンのようなわずかな起毛感とウエット感を持つ独特のタッチが生まれています。タフで強く、長く使える布。ワークウェアの思想は、この生地にも受け継がれています。

染色という機能

今回紹介しているMeeting Jacket のもう一つの特徴が、純天然染料による製品染めです。「純天然染」とは、植物・鉱物・動物など自然由来の染料のみを用い、化学染料を使わずに染める方法です。灰や鉄などで媒染し、時間をかけて色を定着させるため、穏やかな色合いと経年変化による深みが生まれます。

今季は、「泥藍染(泥染と藍染の重ね染)」(商品はこちら)「テーチギ染」(商品はこちら)といった自然由来の染色が用いられています。天然染色は単に色を与えるだけではありません。植物や土壌由来の成分が繊維に入り込むことで、生地に独特の強度や風合いをもたらします。

藍染は、古くから野良着や作業着に用いられてきました。藍に含まれる成分には防虫性や抗菌性があるとされ、布を長持ちさせる働きがあると考えられています。

泥染では、土壌に含まれる鉄分やタンニンが繊維と反応することで色が定着します。
繊維の奥まで成分が入り込むことで、布の表情に深みが生まれます。

テーチギ染もまた、植物のタンニンを利用した染色です。本来は泥染のための下地となる染色です。
使い込むほどに色が落ち着き、自然物ならではの奥行きのある色へと変化していきます。

先日、藍染の工場見学をさせていただく機会がありましたが、藍も生きているそうで、人間と同じく日々染まり方が違うそうです。その見えないものと対話をしながら染めを行うのですから、その時々で色の仕上がりも違うでしょうし、制作する過程にも「自然と人間の関係」があると言えるのかもしれません。

使い込むことで纏い手だけの彫刻が浮かび上がる

今季のテーチギ染のカラーは「Rust Brown」と名前が付けられています。デザイナー自身が採取した石の色からのトレースや錆びた鉄からインスピレーションを受けたものだそうです。

立ち上がる程硬さのあるジャケットから、何度も染められたということが分かりますね。

変化する色という価値

天然染料の色は、光、汗、摩擦、空気といった環境の影響を受け、少しずつ変化していきます。色が変わり、パッカリングやアタリが強調されてきます。長時間の光による日焼けや、酸性・アルカリ性の物質との反応によって色味が変わることもあります。着用初期には色移りが生じる場合もあります。

近代的な化学染料の基準で見ると、それは「不安定」に見えるかもしれません。しかし純天然染の視点では、それは素材が環境と反応している証でもあります。むしろその変化こそが、この染色の本質と言えるのかもしれません。

長く使うための仕組み

25AW COLLECTION「泥染」Dark Mud Brown Meeting Jacket

天然染色のもう一つの特徴は、染め直しが可能であることです。ブランドでは過去のコレクションを含め、すべての純天然染色製品の染め直し相談を受け付けています。
長く着用し色が変化しても、再び染色することで新しい表情を与えることができます。

25AW COLLECTION「泥染」Dark Mud Brown Meeting Jacket

さらに天然染料に含まれるタンニンや鉱物成分が繊維に重なり、繰り返し染め直していくことで生地の密度が増し、布がより強くなるという実用的な側面もあります。

衣服を消費するのではなく、手入れをしながら使い続ける。
その考え方もまた、ワークウェアの思想、そして自然との関係性に結びついていると言えますね。

時間を重ねる衣服

手ぶらで散歩

身体の動きを考えたパターンやポケット設計、倉敷のワーク生地、そして純天然染。それらが重なり、純天然染のMeeting Jacket は完成します。

しかしこの服の本当の姿は、購入した瞬間ではなく、着続ける時間の中で少しずつ現れていきます。光や風、日常の動きの中で色が移ろい、布が柔らかくなり、その人だけの一着へと育っていきます。純天然染のMeeting Jacket は、時間の変化を受け入れる面白さと奥行きの楽しさを魅せてくれるのではないかと思います。

「永久の未完成これ完成である」。これは岩手の偉人宮沢賢治の『農民芸術概論綱要』にある有名な言葉ですが、まさにそんな一着なのではないでしょうか。

散歩で見つけた街の壁たち

面白いことに純天然染のMeeting Jacketを手に取るようになってから私の街の景色の見え方も変わりました。散歩が趣味と言える程好きですので、このジャケットは手ぶらで歩けてとても役に立っているのです。その中でも、特に日々変化する純天然染を見ていたことが街の壁の色の微差に気づくきっかけになったようでした。

人工物と雨や気温などの人がコントロールできない自然が織りなす絵画はこれまた、「自然と人間の関係」と言えるのかもしれませんね。最後に余談でしたが、服の変化だけではなく、自身の感覚の変化ももたらしてくれた純天然染のMeeting Jacket と、ゆるりと旅を続けたいと思います。

今回の記事で少しでも魅力が伝わっていれば嬉しい限りです。取り扱い実店舗はCONTEXT TOKYO(表参道)とkune(岩手)の2店舗となります。
アイテムに関して、ご不明な点がありましたら店舗やオンラインにてお気軽にお問い合わせくださいませ。

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