「服が好き」という共通点を持ちながら、人それぞれ異なる“眼差し(偏愛)”に注目する企画、『偏愛徒然記』。服への個人的なこだわりや愛着を通じて、ファッションの多様な価値や面白さを掘り下げていきます。
第2回の語り手は、乙景スタッフ・山口。彼の偏愛するアイテムは、意外にも -「デニム」です。一見ベーシックで普遍的な存在のデニムに、彼はどんな魅力を感じているのでしょうか。この記事を読めば、あなたもきっとデニムへの見方が変わるかもしれません。
語り手 | 乙景 STAFF 山口
聞き手 | kune店主照井

__ 普段から色々なブランドやアイテムを楽しんで着ている印象ですが、山口さんの“偏愛アイテム”をひとつ挙げるとしたら何ですか?
山口: 最近で言うと、デニムですね。
__ デニムと聞くと、ファッションの中でも割と定番アイテムの印象ですが、そこに惹かれた理由は?

山口: 僕は昔、モード系の服ばかり着ていました。例えば、ウールギャバのワイドスラックスみたいに上品でドレープ感があり、流れるラインがきれいな服。なので、デニムとは無縁だったんです。でもある日、HED MAYNERのデニムと出会ったんです。その1本がきっかけで、自分の価値観がガラッと変わりました。
__ どんな出会いだったんですか?
山口: 子供の頃から洋服が好きで、高校生になってからファッションにのめり込みました。その頃から20歳くらいまでは、モードと言われるジャンルの洋服を好んで着ていました。当時カジュアルウェアにはあまり興味がなくて。ところが、コロナ禍にHED MAYNERがスウェットパンツを出したのを見て「これは新しい」と思ったんです。
__ それがきっかけでデニムにも手を出すことに?

山口: はい。モード寄りの服が好きだったので、カジュアルな洋服には距離を置いていました。しかしコロナ禍のステイホームの影響で、各ブランドがカジュアルなスタイルを取り入れていったんです。実際に僕もHED MAYNERのスウェットパンツを履いてみたらまずめちゃくちゃ楽で、だけどシルエットも綺麗で。
「このブランドだったら、カジュアルでも自分のスタイルに合うかも」と思えたんです。そこから次のデリバリーで買い付けていたデニムも試して、すぐに虜になりました。
__ 初めて手にしたこのデニムのどこが気に入っていますか?

山口: ウォッシュがかった色味ですが、生地が厚くて形がしっかり出る。デニムにしてはかなり緩めのシルエットが、見た目も着心地も好みでした。普段は割と洋服を丁寧に扱う方ですが、このデニムは裾が擦り切れるほど履いていますね。履いていく中で感じたのがとにかくタフ。洗濯機で気にせずガシガシ洗える気楽な点がいいですね。
__ 確かにモード系と言われる服は繊細な素材が多いから気軽に洗濯できないものが多いですよね。
山口:それとある程度歳を重ねるとライフスタイルというのも意識するようになってきて、それにフィットするのもいいですね。

山口:京都に来てからは、散歩するのが日常になりました。例えば本を一冊だけ持って出て、パンとコーヒーだけ買って鴨川にいく。そういう場面でもスラックスより、こういうデニムの方がやっぱり合うと思います。
__ 共に日々を過ごしていくことで、より愛着のある1本になっていくんですね。

山口: そうですね。デニムに限らずですが、そうやって洋服はただの服以上の存在になると思うんです。着るシーンや自分の行動がそのまま刻まれていく感じが愛おしいです。
__ JAN-JAN VAN ESSCHEのデニムも愛用しているそうですね。

山口: はい。この形のJJVEのパンツは本当に気に入っているのですが、JJVEの直線のパターンから生まれるシルエットは、かつて労働着だったデニムですが、エレガントさとカジュアルさが共存していて、デニムの印象を一気に変えてくれました。

腰回りのダーツや色味、経年変化も楽しくて、着るたびに発見があります。新品の状態でもかっこいいけど、履き込んで線が柔らかくなってきてからが本当に好みです。

__ 山口さんは、この形のパンツが本当にお気に入りだとか。
山口: はい(笑)25年の春夏で、また違うデニム生地のパンツを買い足しました。生地が違うのはもちろんですが、パターンも微妙に違っているので、ただの生地違いというよりは、また新しいお気に入りがワードローブに加わったという気持ちです。
__ さらにまた違うブランドのデニムも取り入れたんですよね?

山口:そうなんです。unkruidのコットンリネンデニム。デニムにハマってくると、デニムの中でもこういうのが欲しいとかこういう履き方したいみたいなのが出てきてしまって。デニムだけど、スラックスみたいに綺麗に履きたい。それこそ、ジャケットに合うようなデニムが欲しいと思いました。

山口:けどやっぱりうちのブランドたちはそれぞれの個性を出しながら、その気持ちに答えてくれるんですよね。だからつい買っちゃうし、気がつくと増えちゃう。デニムだからカジュアルだということはなく、生地によっては上品に履くことができるんです。
__これぞ偏愛真骨頂ですね。
山口: デニムと言えは綾織のコットンでしょというイメージもあったので、また新しい発見があった1本でもありました。
__ デニムって本当に奥が深いですね。
山口: そう。一本のデニムを基準にすると、ほかのデニム選びも楽しくなるんです。色やシルエットの違いに気づくと、自分の“好み”がどんどん分かって楽しいですよね。
__ デニムを履き込む楽しさだけでなく、気分に応じて選ぶ楽しさもあるんですね。

山口: そうです。自分の今の考え方として、パンツはスタイリングの土台になりますし、タフさも大事。僕はお客様で、今からファッションを変えたいという方にはまずパンツを提案させてもらうことが多いです。特にデニムは、多くの方に馴染みがあって、普段から気軽に履ける安心感があるので、手にとってみる価値はあると思います。
__ なるほど、服は着てこそですね。
山口: こういった普段着をアップデートしていくことで、服との付き合い方をもう一度考えるようになりましたし、自分のスタイルや服選びの感覚が研ぎ澄まされる感じもありますね。
__ 本当にその通りですね。山口さんのデニム愛、しっかり伝わりました。ありがとうございました!
今回の記事の紹介ブランド一覧
▶︎HED MAYNER(ヘドメイナー)の 商品はこちらから
▶︎JAN-JAN VAN ESSCHE(ヤン ヤン ヴァン エシュ)の 商品はこちらから
▶︎unkruid(アンクルイド)の 商品はこちらから
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